読んだ感想は↓
14日 単行本『サロメの断頭台』夕木 春央 講談社
あらすじ
油絵画家の井口は泥棒に転職した蓮野を連れて、富豪のロデウィックの元を訪れる。
後日、芸術に造詣の深いロデウィックは、井口の絵を見るために彼のアトリエに訪れるが、たてかけてある絵を見て「この絵とそっくりな絵を見てことがある」と気が付いて――
未発表の絵の謎を追って、井口と蓮野が大正時代を駆け抜ける。
「方舟」「十戒」の夕木春央先生の新作
舞台が大正時代で、状況設定がクローズドサークルではないので、「方舟」「十戒」のような驚きは期待できなさそうに見えるが、タイトルに入っている “サロメ” は新約聖書に登場する女性の名らしい。
聖書の内容から取ったタイトルの作品が評価されている中、またしても聖書からタイトルを付けているとは、この作品に対しての夕木先生の自信が見える。
26日 単行本『家族解散まで千キロメートル』浅倉 秋成 KADOKAWA
あらすじ
https://www.kadokawa.co.jp/product/322309001298/
〈家族の嘘〉が暴かれる時、本当の人生が始まる。どんでん返し家族ミステリ
実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。古びた実家を取り壊して、両親は住みやすいマンションへ転居、姉は結婚し、周は独立することに。
引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた家族全員で片づけをしていたところ、不審な箱が見つかる。中にはニュースで流れた【青森の神社から盗まれたご神体】にそっくりのものが。「いっつも親父のせいでこういう馬鹿なことが起こるんだ!」理由は不明だが、父が神社から持ってきてしまったらしい。
返却して許しを請うため、ご神体を車に乗せて青森へ出発する一同。しかし道中、周はいくつかの違和感に気づく。
なぜ父はご神体など持ち帰ったのか。そもそも父は本当に犯人なのか――?
「六人の嘘つきな大学生」「俺ではない炎上」の浅倉秋成先生の新作
浅倉先生の傑作「六人の嘘つきな大学生」と同じく “嘘” が重要なキーワードになっているので、それだけで興味をそそられる。
27日 単行本『切断島の殺戮理論』森 昌磨 星海社
文化人類学の学徒たちが“地図にない島”で遭遇する!
https://www.seikaisha.co.jp/information/2024/02/29-post-setsudantou.html
異様な世界(クローズド・サークル)、異常な殺戮(ジェノサイド)、異形な真実(アルゴリズム)!
帝旺大学人文学部文化人類学科の最強頭脳集団・桐村研が現地調査に赴いたのは、国家に隠匿された地図にない島──鳥喰島。
江戸時代に囚人の流刑地とされたその孤島には、身体を切断する成人儀礼を始めとする奇習を存続させた〈鷲族〉と〈鴉族〉が存在していた。
“欠落を美と見做す”彼らの閉鎖世界で発生する連続殺人……これは無計画の連鎖か、計画された虐殺か?
惨劇を追認する推理の果て、異形の真実が剥き出しにされる──!
〈黒猫〉シリーズの森晶麿が、異形の美学を構築する本格ミステリ!
面白そうなあらすじではあるのですが、殺戮系の話はあまり好みじゃないし、発売日付近に他に読みたいミステリが発売されるので、読むか大いに迷ったが、
【本格ミステリ】この一文が書かれていたら読まずにはいられない
……3月末~4月初の読書が大変になりました
27日 単行本『永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした』南海 遊 星海社
あらすじ
https://www.seikaisha.co.jp/information/2024/02/26-post-eigoukan.html
『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ。
「私の目を、最後まで見つめていて」
そう告げた『道連れの魔女』リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。
母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。
葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。
大嵐により陸の孤島(クローズド・サークル)と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのか──
作者の南海遊先生は、「小説家になろう」に投稿していた作品を新人賞に応募、それが新人賞を受賞し作家デビューした経歴の持ち主
インパクト重視のタイトルと捏ねくり回したあらすじ、さらになろう出身の作家と地雷臭が漂う
が、昨年に刊行された「涜神館殺人事件」も、作者の手代木正太郎先生がラノベ作家なので地雷かな……と偏見を持っていたが、蓋を開けてみると面白かったので、
地雷臭と言いつつもこの作品にはかなり期待している。
29日 単行本『僕らは回収しない』真門 浩平 東京創元社
あらすじ
https://www.tsogen.co.jp/np/author/2379
数十年に一度の日食の日、名門大学の学生寮で起きた不可解な事件の真相とは?
第19回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む五編収録。Z世代の新鋭による鮮烈な作品集!
第19回ミステリーズ新人賞受賞作を含む五編を収録した短編集
作者は、光文社主催の新人発掘企画『カッパ・ツー』に入選し、昨年12月に「バイバイ、サンタクロース~麻坂家の双子探偵~」で小説家デビューした真門浩平先生
デビュー作からかなりのハイペースで二作目の刊行。前作は年末のミステリランキングで上位に入りそうなくらい面白いかったので、個人的に三月の最注目作
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