はじめに
今回は個人的に注目している、令和に活躍することまちがいないミステリ作家とそのオススメ作品を紹介したいと思います。
個人的といっても、ミステリ界ではすでに名を知らない人はいないほどの人気作家ばかりですが……
では、どうぞ!
青崎 有吾(あおさき ゆうご)
デビュー作 『体育館の殺人』 2012
◇『体育館の殺人』あらすじ、感想記事⇩
第22回 鮎川哲也賞(2012)を受賞しデビューした、青崎有吾先生。
青崎先生の特徴は、ライトノベルのような設定でキャラクター小説のようにみせて、推理はしっかりとしたロジックで組み立てられているところです。
オススメの作品は、デビュー作の『体育館の殺人』さらなる、裏染天馬シリーズの2作目『水族館の殺人』
この作品のポイントといえば、なんといっても被害者の死因でしょう。
ミステリでは被害者の死体を発見し事件に発展するのですが、この作品では被害者が殺されるところを目撃することで事件に発展します。
しかも、その殺害方法は観覧客の入った水族館でサメの水槽に被害者を落とし、サメに喰い殺させるというもの。
このド派手な犯行にはわくわくせざるを得ません。
(創作物でミステリとはいえ、人が殺されてるのにわくわくという表現を遣っていいのか?)
登場人物の人間関係の変化などもあるので、前作の『体育館の殺人』からぜひ読んで欲しいです!
オススメ作品『水族館の殺人』(浦染天馬シリーズ 2作目)
◇『水族館の殺人』あらすじ、感想記事⇩
阿津川 辰海(あつかわ たつみ)
デビュー作 『名探偵は嘘をつかない』(2017)
◇『名探偵は嘘をつかない』あらすじ、感想記事⇩
短編集『透明人間は密室に潜む』にて、2021年版 本格ミステリ・ベスト10でランキング1位を獲得した阿津川辰海先生。
現実ではありえない設定の世界観でのミステリ、いわゆる特殊設定ミステリを得意とした作家です。
昨今の特殊設定ミステリブームの火付け役の一人ですね。
いま一番注目しているのは阿津川先生、というミステリファンは多いのではないでしょうか。
そんな阿津川辰海先生のオススメ作品は、やっぱり最初にあげた『透明人間は密室に潜む』でしょう。
表題作を含めた4編からなる短編集なのですが、そのどれもが面白い。
特に表題作の『透明人間は密室に潜む』は、透明人間になってしまう病気、透明人間病が流行した世界が舞台なのですが、
ただ透明人間になるという設定ではなく、透明人間であることの苦悩などがしっかりと書かれており、世界観の作りこみにリアリティーがあって、かなり面白いです!
年末の本格ミステリ・ベスト10でここ数年、上位をキープしている阿津川先生の作品、興味がわいた方はどの作品も面白いので、いちど読んでみてください!
オススメ作品『透明人間は密室に潜む』
◇『透明人間は密室に潜む』あらすじ、感想記事⇩
今村 昌弘(いまむら まさひろ)
デビュー作 『屍人荘の殺人』(2017)
◇『屍人荘の殺人』あらすじ、感想記事⇩
今村昌弘先生は鮎川哲也賞を受賞しデビューした作家です。
そのデビュー作の『屍人荘の殺人』はミステリ界で大いに話題になり、第18回 本格ミステリ大賞(2018)受賞のほか、四大ミステリランキングのうち、三つのランキングで1位を獲得しました。
(1位を逃した「ミステリが読みたい!」でも2位を獲得)
今村先生以前に、四大ミステリランキングで三冠を達成したのは、人気と実力を兼ね備えた、東野圭吾先生と米澤穂信先生のみなので、デビュー作で三冠を達成するのは異例な出来事です。
(余談ですが、米澤先生は三冠を2回達成しているうえ、四冠も達成している)
※四大ミステリランキング
週刊文春ミステリーベスト10(文藝春秋)
このミステリーがすごい!(宝島社)
本格ミステリベスト10(原書房)
ミステリが読みたい!(早川書房)
そんな今村先生のオススメ小説はやはり『屍人荘の殺人』でしょう!
というか、今村先生は、まだ『屍人荘の殺人』シリーズしか書いていないので、必然的に一作目のこの作品になる。
正確にいえば、ドラマ『ネメシス』の小説版も出しているのだが、あれはドラマの脚本的なものなので除外しています。
『屍人荘の殺人』は、夏休みの合宿に参加した主人公たちが、“ある緊急異常事態”によってペンションに閉じ込められ、そこで殺人が起こるといったクローズドサークルもの。
デビュー作が面白い作家は2作目から急にクオリティが下がったりするのですが、今村先生は2作目の『魔眼の匣』、3作目の『兇人邸の殺人』としっかりとクオリティを保ったままシリーズを刊行されています。
ネタバレになるのであまり詳しく説明はできないが、面白いのでネタバレを見ずに読んで欲しい!
オススメ作品『屍人荘の殺人』
◇『屍人荘の殺人』あらすじ、感想記事⇩
白井 智之(しらい ともゆき)
デビュー作 『人間の顔は食べづらい』(2014)
新人文学賞、第34回 横溝正史ミステリ大賞(2014)にて受賞は逃したものの、選考委員の推薦を受けてデビューを果たした白井智之先生。
グロテスクな独特の世界観と、一つの謎に複数の推理が並行してなされる多重解決を得意とし、色物な作風でありながら人気を博しています。
オススメの作品は『名探偵のはらわた』
スプラッター色は強いものの、グロテスクな感じが他の作品に比べるとマイルドになっており、かなり取っつきやすくなっています。
それと、白井先生の作品では珍しく主人公に好感が持てる。他の作品の主人公は少し暴力的であまり好きになれないんですよね。
まあ、それが白井先生の作り出す世界観にマッチしていて良いところでもあるのですが……
オススメ作品『名探偵のはらわた』
◇『名探偵のはらわた』あらすじ、感想記事⇩
さいごに
というわけで、個人的注目しているミステリ作家を4人紹介させていただきました。と
本格ミステリ界は平成の終わり頃から特殊設定が流行り、新本格ミステリの時代から、また新たな本格ミステリの時代へと移り変わっていってるように感じています。
今回紹介した作家はその新たな本格ミステリの時代を牽引していく存在だと確信しています。
未読の作家がいたらぜひとも読んでください!
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