初めに
1992年に刊行された有栖川有栖先生の大人気シリーズ、火村英生(作家アリス)シリーズの第1作目。
密室ものの巨匠推理作家と謎の男が、それぞれ別の密室で殺害された。
さらに、その密室を作り出したトリックは、その巨匠作家の次回作(46作目の密室作品)で使う予定であったものではないかと疑いがかかる――
ゴリゴリの密室ものです。
次作 「ダリの繭」 火村英生(作家アリス)シリーズ#2
あらすじ
推理作家の有栖川有栖(アリス)は友人の臨床犯罪学者 火村英生とともに招待された、「日本のジョン・ディクスン・カー」と呼ばれる密室ものの巨匠、真壁聖一の家を訪ねた。
人里離れた真壁宅の周りをうろつく不審者の目撃や、ちょっとしたことで空気が悪くなりながらも、真壁聖一やその家族、招待された編集者や推理作家たちと楽しく過ごす。
しかし、夜中にふと窓の外を見たアリスが裏口へと向かってくる足跡を発見し、侵入者を疑い真壁邸を探索すると、周りをうろついていた不審者と思しき謎の男が殺されていた。しかも密室で!
警察に連絡し、家にいる全員を起こすが真壁聖一の姿が見えない。
彼は地下の書庫で殺されていた。こちらも密室!
警察に何度か協力した経験のあった火村は、程なくして到着した警察に今回の事件でも捜査協力を頼まれ、助手に任命したアリスとともに事件解決に挑む。
そして、暖炉で燃やされていた真壁のメモから、今回の事件で使われたトリックは、真壁が46作目の密室推理小説として発表するはずだったもののトリックが使われたのではという疑惑が上がり――
感想
火村英生シリーズの1作目。作家アリスシリーズとも呼ばれていますね。
本シリーズは2016年に斎藤工さんと窪田正孝さんでドラマ化もされた大人気シリーズです。
作者と同じ名前の登場人物がいると言うのは、海外のミステリ作家エラリー・クイーンと重なりますね。
(エラリー・クイーンは名探偵で、有栖川有栖はワトソン役という違いはありますが)
クイーンといえば、読者に謎を解くための情報をすべて提示するフェアさと、ロジカルな推理というのが特徴的ですが、この作品も情報をすべて読者に与えるフェアさと、納得のいくロジカルな推理がしっかりある。
有栖川先生の初期の作品と言うこともあり、トリックのインパクトに若干の物足りなさを感じるもののそれでも十分に面白い!
非常に読みやすく、推理もわかりやすいため、謎ときに重きを置いた本格ミステリ初心者や読書初心者にもオススメできる作品です。
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