『化石少女』麻耶雄嵩 | あらすじ、感想 – 万年赤点の化石オタクの推理は迷推理?

初めに

 2014年に刊行された麻耶雄嵩まやゆたか先生の連作短編作品。

 化石少女かせきしょうじょシリーズの第1作目になっています。

 探偵役が推理し、助手役がそのサポートをする。
 というのが推理小説のお約束ですが、この作品はそのお約束を破った邪道もの。

 探偵役の神舞かんぶまりあが推理し、助手役の桑島彰くわじまあきらはその推理を肯定せずに一蹴し、探偵ごっこを辞めるように促します。

書誌情報

  著者 : 麻耶雄嵩まやゆたか
タイトル : 化石少女かせきしょうじょ
シリーズ : 化石少女シリーズ
 出版社 : 徳間書店
レーベル : 徳間文庫
  判型 : 文庫
ページ数 : 400ページ(文庫)
 発行日 : 2014 / 11 / 13(単行本)

     2017 / 11 / 2(文庫)

受賞・ランキング

2016 本格ミステリベスト10 16位 

 

あらすじ

 良家の子女が通う、私立ペルム学園に入学した庶民の桑島彰くわじまあきら

 決して背伸びで入学したのではない。
 彰の役割は父親の上司の娘であり、幼馴染でもある神舞かんぶまりあのお守り役として入学したのだ。

 そのまりあに無理やり入部させられた古生物部は部員数が少ないため、廃部の危機に瀕していた。

 部員集めに奔走する彰だったが、そんな時に学園内で次々と殺人事件が起こる。

 ひょんなことからその事件に関わり、事件の詳細を知ることになった古生物部。
 まりあは、古生物部が廃部の危機に瀕している原因である生徒会役員を陥れようと、犯人を生徒会と決めつけ推理する。

 

感想

 個人的な評価としては、そこそこ面白い。という感じかな。

 万年赤点でとても推理するほど頭が良いとは言えない神舞まりあが、古生物の知識から推理をひらめくのはかなり面白かった。

 だが、探偵役の推理を一蹴する。というのがこの小説のパターンでそこが面白いところではあるのだが、そのせいで事件が作品内でちゃんと解決せず、読んでいる最中はずっともやもやしてしまう。

 最後の短編でそのもやもやは晴れることになるのだが、すっきりするには少しインパクトが弱いなと思った。

 ここまでの感想ではあまり読みたいと思わないだろうが、ちょっと待って欲しい。

 僕は自信をもってこの作品をオススメする!

 その理由としてはシリーズの2作目『化石少女と七つの冒険』です。

 2作目ではこの作品の結末を色濃く引き継いでおり、そのおかげで助手役が探偵役の推理を否定するといったパターンがかなり面白くなっている。

 その面白さは『化石少女』を読んでこそだと思うので、是非この作品を読んで、2作目の『化石少女と七つの冒険』も読んで欲しい。

◇シリーズ#2『化石少女と七つの冒険』あらすじ、感想記事⇩

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