初めに
2013年刊行の青崎有吾先生の作品。
デビュー作の『体育館の殺人』から始まる、裏染天馬シリーズの第二弾!
今作で裏染天馬が挑むのはアリバイ崩し。
11人の確固なアリバイを持った容疑者の中から犯人を捜します。
前作の『体育館の殺人』を読んでいないと、登場人物の関係性が分からないと思うので、前作を読んでいない方はそちらからお読みください。
◇前作 シリーズ1作目『体育館の殺人』あらすじ、感想記事⇩
あらすじ
今作の舞台は水族館
営業中の水族館で水槽に落ちた飼育員がサメに喰い殺された!
バックヤードには、飼育員が落ちたのは事故ではなく誰かに落とされたという確かな証拠が!
容疑者は11人。その全員が確かなアリバイを持っている。
裏染天馬はアリバイを崩し、11人の中から犯人を見つけ出せるのか!
感想
前作の『体育館の殺人』よりも確実に本格ミステリとしての面白さが上がっている。
11人の多すぎる容疑者。しかも、全員がアリバイを持っている。頭を抱えた警察が裏染天馬に協力を仰ぐと、彼はすぐさま推理を披露し、行き詰った事件を進展させるのだが、その推理のせいで事件がまた一段と不可解になる。本格ミステリ好きとして、この展開はたまらない!
また、前作での“傘”の推理のように、現場にあった微かな証拠から論理を組み立てる裏染天馬の推理は健在。本作でも現場に残されたちょっとした証拠から、あっと驚く推理を披露し容疑者のアリバイを崩す。
さらに、スケールアップしたのは本格ミステリとしてだけではない。シリーズ化されたことによって、キャラの造形に深みが増し、キャラクター小説としても本作は輝きを増している。
次回作ではどんな趣向の本格ミステリになるのかが楽しみだが、登場人物たちを取り巻く環境がどう変わっていくのかにも目を離せない。
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