初めに
2002年刊行の北山猛邦先生のデビュー作。
城シリーズの第一作目。
第24回メフィスト賞を受賞しています。
城シリーズといちおうは銘打たれているが、繋がりがあるわけではないのでこのシリーズはどの作品から読んでも大丈夫。
終わりを迎えつつある世界。
幽霊退治を頼まれた探偵・南深騎は、過去、現在、未来の三つの時を刻む大時計を掲げる『クロック城』を訪れた。
大時計の鐘が鳴り響いた夜、二つの首なし屍体と二つの生首が見つかる。しかし、犯行に及べるものは誰もいなかった――
SF、ホラーなど詰め込みすぎな感じでごちゃごちゃしているが、トリックの推理の説明はシンプルで分かりやすく、本格ミステリとして面白い。
あらすじ
終焉を迎えつつある世界。
探偵への依頼が減る一方、幽霊の見える南深騎の元には幽霊退治の依頼ばかりが来るようになっていた。
ある日、事務所に来た黒鴣瑠華の家に棲む幽霊〈スキップマン〉の退治を依頼され、瑠華の家『クロック城』を訪れる。
壁に浮き上がる人面瘡、謎の白骨屍体。
さらに、大時計の鐘が鳴り響いた時、二人が殺され、二つの首なし屍体と二つの生首が見つかったが、それは誰にも犯行が不可能だった――
感想
トリックがいいので本格ミステリとして面白い作品になっているが、終末世界、SF、ホラーと設定が詰め込まれていてストーリーがごちゃごちゃしているのはもったいないと思った。
SF、ホラーとしては中途半端になっているし、それらの繋がりが薄いく、トリックのおかげで本格ミステリというジャンルとしては面白いが、ミステリーとしてもいまいちな印象になっている。
しかし、作品の肝であるトリック。大仕掛けのメイントリックはかなりの衝撃で、そのトリックの推理が終わったあとに、二転三転する展開も面白い。
設定を詰め込んだせいでごちゃごちゃした印象だが、肝であるトリックの推理は解説図もあるので分かりやすいのとてもいい。
だけど、分かりやすいだけに、その図がネタバレになってしまうかもしれないので、紙の本で読む人はそのページが見えないように注意が必要です。
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