『ダリの繭』有栖川有栖 | あらすじ、感想 – その死体は何故かトレードマークの髭が剃られていた

紹介

 1993年に刊行された有栖川有栖先生の作品。
 火村英生シリーズ(作家アリスシリーズ)の2作目。

 この火村英生シリーズは出版社の枠を超えて刊行されています。
 そのため、作品ごとに事件は解決しており、シリーズ2作目のこの作品から読んでも問題ないように書かれています

 単行本の『新版ダリの繭』角川ビーンズ文庫から刊行されている『臨床犯罪学者・火村英生の推理Ⅲ ダリの繭(下)』には書下ろしの掌編小説『シュルレアリスムの午後』が収録されています。

 単行本の方は絶版になっているので、読みたい方は角川ビーンズ刊行の文庫本を買うといいでしょう。

◇シリーズ1作目『46番目の密室』あらすじ、感想記事⇩

角川文庫

角川ビーンズ文庫 上・下

単行本

書誌情報

  著者 : 有栖川有栖
タイトル : ダリの繭
シリーズ : 火村英生シリーズ(作家アリスシリーズ)
 出版社 : KADOKAWA
レーベル : 角川文庫
  判型 : 文庫判
ページ数 : 448ページ(角川文庫)
 発行日 : 文庫本 1993 / 12 / 7
     単行本 1999 / 12 / 3
角川ビーンズ文庫 上 2013 / 6 / 1
         下 2013 / 7 / 1

 

あらすじ

 

 画家のサルバドール・ダリを心酔する、宝石チェーンの社長が殴殺された
 死体は殴殺するには不向きな、棺のようなカプセルの中に横たわっており、なぜか被害者の服がなく、彼のトレードマークであるダリ髭は剃られてなくなっていた――

 

感想

 死体の移動、死体の髭剃り、被害者の服を持ち去るなど、不可解な行動の多い殺人犯。

 さらに、容疑の深い社員たちは事情聴取で自身のアリバイを主張できないが、何故かその社員たちのアリバイになりそうな目撃情報が続々と入ってくる。

 そういったいくつもの要因が絡み合い、複雑になった事件が、少ない情報からちょっとずつ解き明かされていく過程がすごくいい。

 物語中盤の重要人物の証言により、事件の様相が一段と不可解になってからがかなり面白かった。

 ただ、誰かにおすすめするには少し地味すぎるかな。
 面白いから読んで欲しんだけれど、おすすめして読んでくれた人から感想がくるまで気が気じゃない。そのくらい地味。

 少女向けのレーベルである、角川ビーンズ文庫から挿絵付きで刊行されたとき、何故このシリーズを? と不思議に思ったが今考えると、誕生日をカップルばかりのフランス料理店でお祝いしたり、新婚ごっこしたりと、確かにそういう要素あるなと納得した。

 でも、途中で刊行が止まってるってことはあまり売れなかったのかな? 

 

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