『兇人邸の殺人』今村昌弘 | あらすじ、感想 – 閉じ込められたのは首切り殺人鬼が徘徊する建物

 

 2021年刊行、今村昌弘いまむらまさひろ先生の作品。
 『屍人荘しじんそう殺人さつじん』からなるシリーズの3作目
 前の2作が大きく物語に関わってくるのでシリーズを順番に読むことをお勧めします。

 

◇前作『魔眼まがんはこ殺人さつじん』あらすじ、感想記事⇩

◇シリーズ1作目『屍人荘しじんそう殺人さつじん』あらすじ、感想記事⇩

 

 前作、前々作と同様にクローズドサークルもの。

 今作では首切り殺人鬼が徘徊する兇人邸きょうじんてい” に閉じ込められます。
 そこで起きた首切り殺人が殺人鬼が殺したものではなく、仲間が殺したのではないかと疑念が沸きあがり、脱出方法を探りながら推理するサスペンスホラー

 サスペンスホラーでありながらも、しっかりと本格ミステリとしても楽しませてくれます。

書誌情報

  著者 : 今村昌弘いまむらまさひろ
タイトル : 兇人邸きょうじんてい殺人さつじん
シリーズ :『 屍人荘しじんそう殺人さつじん』シリーズ #3
 出版社 : 東京創元社
レーベル : 東京創元社
  判型 : 四六判上製
ページ数 : 362ページ(単行本)
 発行日 : 単行本 2021 / 7 / 30

受賞・ランキング

2021 週刊文春ミステリー    3位
2022 本格ミステリ       3位
2022 このミステリーがすごい  4位
2022 このミステリーが読みたい 5位

 

あらすじ

 

 神紅大学ミステリ愛好会の元へきた依頼は、地方のテーマパークにある “兇人邸きょうじんてい” への同行。
 そこではテーマパークの主である班目機関まだらめきかんの研究員が隠居しており、依頼人の目的はその研究内容を盗み出すこと。しかし、それは不確定な情報であった。
 そんな中、依頼人が目を付けたのが剣崎比留子けんざきひるこ“特異体質” だった。彼女を連れて行けば無駄足になる可能性が低くなる
 葉村譲はむらゆずるは依頼人の身勝手な依頼に激昂しながらも、剣崎比留子のワトソンとして “兇人邸” へと足を踏み入れる。

 そこで彼らを待っていたのは首切り殺人鬼だった。

 

感想

 前作、前々作と同様に今回も趣向を凝らしたクローズドサークルで面白い。

 サスペンスホラー要素が強く、首切り殺人鬼に襲われるシーンに手に汗を握り、首切り殺人鬼から逃げ、安全圏に入ったら入ったで仲間内に殺人犯がいるかもしれないと疑惑が生まれる。
 さらに兇人邸から脱出するためには首切り殺人鬼が徘徊するエリアに戻らなければならない!

 息を吐かせぬ展開でページを繰る手が止まらず、一息で読んでしまう面白さだった。

 他のシリーズ作品と違いサスペンスホラー色が強いが、本格ミステリの部分を手を抜いているわけではなく、しっかりとシリーズのクオリティを守っている。

 事件の結末には心悲しくなったが、その余韻を感じる間が物語の中になかったのはちょっとだけ残念だけど、次回作への期待を上げる物語の締め方で早く続きが読みたくなる。

 

このブログの今村昌弘先生の記事

「屍人荘の殺人」 屍人荘の殺人シリーズ#1

「魔眼の匣の殺人」 屍人荘の殺人シリーズ#2

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