阿津川辰海『紅蓮館の殺人』あらすじ、感想 ― 炎に囲まれ孤立した仕掛けだらけの館での死者、殺人か? 事故死か?

書誌情報

  著者 : 阿津川辰海あつかわたつみ  
タイトル : 紅蓮館ぐれんかん殺人さつじん
シリーズ : 館四重奏シリーズ
#1
 出版社 : 講談社    
レーベル : 講談社タイガ
  版型 : A6(文庫)  
ページ数 : 448P(文庫) 
 発行日 : 2019 / 9 / 20

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本格ミステリ大賞 第20回(2020)最終候補作



2020 本格ミステリ      3位 
2020 ミステリが読みたい   5位 
2020 このミステリーがすごい 6位 

 

あらすじ

 作家財田雄山に会うため高校の合宿を抜け出した田所と葛城

 館がある山を登っている途中、突如の落雷で起こった山火事によって下山ルートがなくなり財田雄山の館へ避難させてもらう

 館に住む人達や他の避難者とともに救助を待つが、その間に館に住む少女つばさが殺されてしまう

 さらに、天候の悪化により救助が困難に

 つばさを殺した犯人を推理しようと躍起になる葛城だが、他の避難者の一人に事故死だと推理されてしまうが反論が出てこない

 果たして、つばさの死は殺人なのか? 事故死なのか?

また、館のどこかにあるかもしれない隠し通路を見つけ出し、燃え盛る炎が迫りくる館から脱出することはできるのか?

 

感想

 館四重奏シリーズの第一作目

 炎に囲まれた館で殺人が起こるクローズドサークルもの

 物語の視点は一人称の田所を軸に、他の登場人物の視点が一人称、三人称で書かれる

 偶発的に起きた山火事によって顔を合わせることになった面々だが、事件が起きる前から何だか怪しい登場人物

 館には隠し部屋や吊り天井の部屋、部屋ごと上下するエレベーター、さらには館の外まで繋がっているかもしれない隠し通路が存在しているかもしれないなど、わくわくする仕掛けがさまざま

 トリックの説明が文章だけではわかりづらかったが、図での説明もあったのは良かった

 だが、文章での説明が終わった後に差し込まれていたのはちょっと不満

 図があれば一瞬で理解できたのに、何度も推理の文章を読むことになって読書テンポがかなり乱れた

 それ以外は、レーベルが若者向けの講談社タイガということもあり読みやすい

 続編を読むのが楽しみ

 

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