紹介
2023年に刊行された古典部シリーズの愛蔵版。
「氷菓」「愚者のエンドロール」の合本です。
その中に収録されている二つの短編のうちの一つです。この短編小説は愛蔵版にしか収録されていないものです。
OVA11.5話と漫画6巻収録の「持つべきものは」の小説版です。
夏休み、プールの監視員のバイトをする折木。三日間のうち二日は何事もなく終わったが、最終日である三日目。二つの事件が発生した。
一つは古典部員たちが折木のバイト姿を見るためにプールに訪れたこと、
もう一つは、中学生グループの一人がプール施設のどこかで真珠のイヤリングを落としてしまった事。
古典部員はイヤリングを無くした中学生のため、監視員なのでその場から動けない折木のために落とし物を探すことになるのだが——
古典部(氷菓)シリーズ#1 「氷菓」あらすじ、感想記事⇩
古典部(氷菓)シリーズ#2 「愚者のエンドロール」あらすじ、感想記事⇩
感想
原作小説にはなかったが、アニメと漫画にはあったエピソードがついに小説化。
アニメ、漫画作品と大きく違っていた箇所が二つ。
まずアニメ版との違いですが、折木がプールの監視員のバイトをして、プール利用者が施設のどこかにイヤリングを落としたかもしれない、という話はそのままでしたが、結末が大きく変わっています。
アニメ版しか観たことのない人は別作品として楽しむことが出来ます。
次にエピソードの時系列。
アニメ、漫画では「愚者のエンドロール」のあとに位置付けられ、傷心の折木が立ち直るきっかけのエピソードになっていますが、小説版は「愚者のエンドロール」よりも前、「正体見たり」よりも前に起きたエピソードになっています。
また、折木は姉からバイトを紹介されるのではなく、「正体見たり」でいく合宿のための資金調達のためとなっています。
小説で読めることはないと思っていたので、この小説化はファンとして嬉しい!
アニメと漫画版も面白かったが、やっぱり米澤穂信先生の文章の方が古典部シリーズの雰囲気を感じられていいですね。
収録されているもう一つの短編も漫画版にしかなかったエピソードの小説化なので、原作ファンなら必読の一冊になっています。
「クドリャフカの順番」「遠回りする雛」が収録された愛蔵版2巻、「二人の距離の概算」「いまさら翼といわれても」収録の第3巻も刊行予定。
いまから待ちきれないです。
このブログの米澤穂信先生作品の記事⇩
図書委員シリーズ#1 「本と鍵の季節」
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