似鳥鶏『叙述トリック短編集』あらすじ、感想 ― 叙述トリックだけを収録した短編集

書誌情報

  著者 : 似鳥鶏にたどりけい     
タイトル : 叙述じょじゅつトリック短編集たんぺんしゅう
 出版社 : 講談社     
レーベル : 講談社タイガ
  版型 : A6(文庫)  
ページ数 : 336ページ(文庫)
 発行日 : 2021 / 4 / 15(文庫)  
【単行本発行日 : 2018 / 9 / 20】

受賞・ランキング

2019 このミステリーがすごい 15位 
2019 本格ミステリ      21位 

 

あらすじ

 この短編集は『叙述トリック短編集』です。収録されている短編にはすべて叙述トリックが使われておりますので、騙されぬよう慎重にお読みくださいませ。

  似鳥鶏『叙述トリック短編集』読者への挑戦状より

 

感想

 叙述トリックは使われていると知られるだけでネタバレになってしまうトリックであるが、この作品は叙述トリックを使っているとタイトルで大々的に宣言している。

 また、初めに読者への挑戦状が差し込まれていて、かなり読者に対して挑発的な作品でこの小説に対する作者の自信がかなり見える。

 その自信通り、この小説はめちゃくちゃ面白い!

 だけど、この小説のコンセプト上しかたがないが、初めから叙述トリックを扱っているとわかっているので、他作品と違い叙述トリックが明かされたときの驚きが半減してしまってるのは残念だった。

 しかし、そのデメリットを上回る仕掛けが施されており、それには完全に騙され驚愕しました。

 本文中によく注釈があるのですが、それが話の章の終わりにまとめて記載されていて、目次にそのページが書かれていない。なので、kindleで読むとそのページまでピンポイントに飛べない。

 僕は注釈が出ると、話を読み進める前にその解説を読みたい派なので、それが少しだけもどかしく感じました。

 似鳥鶏先生の作品といえば、ほぼ全ての作品にある作者のあとがきがかなり独特で面白いというのが僕の勝手な印象ですが、今作も例に漏れず独特なあとがきで面白いです。

 普段、作者のあとがきを読まない人も読んでみては!

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