【ミステリ】3月発売の新刊を読んだ感想【2024】

 なかなか読書時間が取れず、2/5冊しか読めませんでした。
 読んでいない三冊はいちおう購入してはいるので、いつか時間のある時に読もうと思います。

 ……こうやって積読本が増えていくんだよなあ。

 今年のミステリランキングが発表されるまでにはちゃんと読みます。

『サロメの断頭台』夕木春央 講談社

全ての謎が解けるとき、『サロメの断頭台』が読者を待つ。
天才芸術家の死、秘密を抱えた舞台女優、盗作事件に贋作事件、そして見立て殺人。

大正ミステリを描き抜く『方舟』著者の本格長編。

油絵画家の井口は、元泥棒の蓮野を通訳として連れて、祖父と縁のあったオランダの富豪、ロデウィック氏の元を訪ねた。
美術品の収集家でもあるロデウィック氏は翌日、井口のアトリエで彼の絵を見て、「そっくりな作品をアメリカで見た」と気が付いた。
未発表の絵を、誰がどうして剽窃したのか?
盗作犯を探すうちに、井口の周りで戯曲『サロメ』に擬えたと思われる連続殺人が発生してーー

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000386714

480ページの大長編

 夕木先生の著作はこの作品以外には「方舟」「十戒」しか読んでいないだが、その二作に比べて主要人物のキャラが一人一人立っており、生き生きしていて驚きました。

 シリーズものであり、僕はシリーズ他作品を読んでいないのだが、この作品から読んでも全く問題がなかった。
 「以前に巻き込まれた事件で怪我をした。今回は気をつけないと」みたいな、おそらくシリーズの他作品で語られた事件のことを言っているのだろうと思われる描写はあるが詳細を語るわけではないので、ネタバレを喰らうことも、前作を読んでいないせいで意味が分からなくこともなかった。

 あらすじや公式HPでシリーズものであることを強調していないので、おそらくこの作品から読んでも問題ないように書かれている作品なんだと思います。

 かなりページ数があるが、消えた遺体、見立て殺人の謎、贋作犯の判明、泥棒騒ぎ、と矢継ぎ早に不可解な事件が起き複雑に絡みあい、読んでいて飽きない。
 また、色々な事件が複雑に絡みあうのだが、とっ散らからずにうまく綺麗にまとまり、一つの真相にたどり着く。

 特によかったのは犯人が殺人を犯した動機。
 「方舟」「十戒」でも背筋が寒くなる衝撃的な動機だったが、この作品もその二作に匹敵するほどの衝撃と絶望で背筋が寒くなった。

 個人的に上半期の本格ミステリは本作がベスト1

書誌情報

発売日:紙版 2024/ 3/ 14  電子版 同日
出版社:講談社
予価 :¥2,310(税込)紙版 
判型 :単行本 
ページ:480ページ 紙版

 

『家族解散まで千キロメートル』浅倉秋成 KADOKAW

〈家族の嘘〉が暴かれる時、本当の人生が始まる。どんでん返し家族ミステリ
実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。古びた実家を取り壊して、両親は住みやすいマンションへ転居、姉は結婚し、周は独立することに。引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた家族全員で片づけをしていたところ、不審な箱が見つかる。中にはニュースで流れた【青森の神社から盗まれたご神体】にそっくりのものが。「いっつも親父のせいでこういう馬鹿なことが起こるんだ!」理由は不明だが、父が神社から持ってきてしまったらしい。返却して許しを請うため、ご神体を車に乗せて青森へ出発する一同。しかし道中、周はいくつかの違和感に気づく。なぜ父はご神体など持ち帰ったのか。そもそも父は本当に犯人なのか――?

https://www.kadokawa.co.jp/product/322309001298/

 序盤~中盤までのロードムービー的なドタバタ劇は面白かったのだが、後半の謎解きで少し失速してしまった印象。

 犯人は父と決めつけて仏像を返しにいく。しかし、父が犯人ではありえない証拠に謎の追跡者。さらに同乗者が行ったとしか思えない妨害。

 「盗んだのは父じゃないのか?」
 「なぜ仏像を盗んだ?」
 「追跡者の目的は?」
 「時間内に無事返せるのか?」

 と、仏像泥棒の謎の不可解さと仏像返却のドキドキ感がうまく作用して、「この家族はいったいどうなってしまうんだ……」と、どんどんページをめくってしまう。

 後半は前半のドタバタ劇から一変して、家族をテーマにした重い話になる。

 正直、個人的には犯人の言い分に納得がいかなかった。
 さんざん好き勝手やって家族の和を乱しながら、家族のありかたについて説く犯人にかなり疑問を抱く。自分も悪いけどお前らも悪いからなと自己正当化しているようにしか思えずちょっと気持ち悪かった。

 でも後半が蛇足かと言われるとそうでもなく。家族全員が納得してそれぞれの新しい一歩を踏み出し作品としては綺麗に終わったと思います。

書誌情報

発売日:紙版 2024/ 3/ 26   電子版 同日
出版社:KADOKAWA
予価 :¥1,870(税込)紙版 
判型 :単行本 四六判
ページ:320ページ 紙版

ミステリ
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うぐいすくん

読む本の9割がミステリと漫画
 
特に本格ミステリが好き
 
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