24日 単行本『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』信国遥 光文社
若い女性ばかりを惨い手口で殺害し、その様子をインターネットラジオで実況するラジオマーダー・ヴェノム。その正体を突きとめてほしいと、しがない探偵・鶴舞に依頼してきたジャーナリストのライラは、ヴェノムに対抗してラジオディテクティブを始めることを提案する。ささいな音やヴェノムの語り口を頼りに、少しずつ真相に近づきはじめる鶴舞とライラ。しかしあと一歩まで追い詰めたとき、最悪の事態がふたりを襲うーー
新人発掘プロジェクト カッパ・ツーから誕生した、本格ミステリ界の新星!
ラジオで殺人の音声を流すという犯人の猟奇性にゾクゾクした。
しかし、探偵が捜査を始めると、リアリティがないというか、遊びのマーダーゲームをやっているような感じというか、犯人の底知れぬ恐ろしさといったホラー的な部分が薄れてしまったのは残念。
ライトノベルのラブコメのような展開もそれに拍車をかけている。
だけど、全体を通すと面白かった。
やや伏線があからさま過ぎる印象ですが、推理から真相まで楽しく読めました。
30日 文庫『冬季限定ボンボンショコラ事件』米澤穂信 東京創元社
小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。
https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488451127
メインの謎であろう、消えたひき逃げ犯の車の謎は正直に言うと小粒。勘が良ければ直ぐに考え付いてしまいそう。
だけど、伏線の張り方は抜群にいい。
違和感なくうまく普通の描写に溶け込ませてあって、回収された瞬間に「ああ! あそこ伏線だったのか!」と膝を打ってしまいました。
待望の(長編)最終巻のうえに、シリーズ一作目からほのめかされていた小鳩くんと小山内さんの過去ということもあってか、結末が気になりグングン読み進めてしまう面白さでした。
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